三伏の内に養ふ秘なるもの 出水見に行くことならず人が死ぬ 青山野老いたる我は見やるのみ 青岬恋の残滓の浪が寄る 旅に出る行先なきも夏の潮
行田法舎(ぎょうでんほうしゃ)のブログの新着ブログ記事
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新緑や生き急ぐとふ常の罠 見上れば泰山木の花舞台 竹落葉七賢人の忘れられ よしあしのなき日々過ぎて半夏生 水無月は水不要月(みづいらぬつき)過疎の村
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まひまひと時が回りて七十余 孑孑よ存在意義を何とする 時鳥天辺駈けて来りけり 水馬(みずすまし)われは誦したり泥ん様 頑固さは胡瓜の塩揉にて貫す
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舟虫逃ぐる蛸壺を積む漁師より 伝馬船入り来る波止の夏暑し 夜の海のしづけさを泣く夜光虫 孑孑に等しき一生かもしれぬ 桑の実の下に川魚ひそむはず
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今日は大人(うし)の一年忌の日です。世は「新しい-」「異次元の」の言葉遊びのもと変遷。大人の蒔いた”平和の種”を育てていきたいものです。 草莽の心は入道雲に訊け 鱗雲いでたる夏に大人逝きぬ 大いなる意志は滅びず万緑忌 貫けば正義は消され過ぎて夏 天空の宙が自由とつばくらめ 万緑忌より青蘆忌(せいろ... 続きをみる
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草莽のふたたび灼けよ老骨も 滾滾と湧く岩清水大人は亡く 君死にて五十日過ぎいまだ梅雨 妻の生日五黄大安水無月尽 梅雨上りまへの驟雨か帰郷して
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弥栄はいづくにもあり芹の花 大雨の報とびかふも梅雨の内 東京より帰りし我に梅雨驟雨 弥栄は咫尺(しせき)にありぬ芹の花 愛犬の五十日祭過ぎ梅雨盛ん
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朝まだき駅くちなしの花白し 始電待つ妻生日の水無月尽 バラ咲の梔子白し三沢郷 梅雨明はまだか百草園の駅 待合室に迷ひ込みしか日野市の蚊
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梅雨空港都市の力が失せゐたり 梅雨空へ飛行機上る狗の国へ 梅雨雲のぶ厚きを飛機抜けきれず 厚き雲抜けて狗の住む雲の海 高空は炎帝すでに力あり
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縁側のなき家は来ぬ甲虫 甲虫仆木(たふれぎ)の香を聞かず久し 雨晴れてにごりに遊ぶ金魚かな 別れたる後夥し水海月 蟷螂の不敵の極み看過せり
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いととんぼ川に暮れゆく寂しさに 鰻釣るチヨン掛緩めてはならぬ 音階のミを穢す蚊を疎みけり 蝸牛生くる時空の羨しきろ(ともしきろ) せはしなく対ひくる蚊を打ち落とす
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祭あはれ棕櫚のはかまを穿く男 祭あはれ酔ふて輪を外れゆく男 柄杓にて水のむ口説き村祭 捕へて呑む老婆はゐぬぞ青蛙 拍子をば少し外して青葉木菟 今日から30日まで久々に東京日野市の分室に出張でゆっくりします。ポール卿待機室みたいなものですが、コロナで卿に3年会えていません(^^)
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麦刈のノギのちくちく肌をさし 麦笛を吹けば昭和の音が鳴る 麦藁の節目節目の艶光る 葭簀して矢切の茶屋が時を超ゆ カーバイドの音が更けゆく夜振かな
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日雇の一日労ひ冷奴 自転車で鉦鳴らし来る氷菓売 深ければ梯子離れぬプールかな 田水ゆゑ泥の匂へるプールかな 溝浚へ先づは赤土掘りに行く
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青潮の浜の石とて拾ひ上ぐ 梅捥げばひつそりと立つ老木なり 捩花の形ととのひ巻き上る 幸運犬良君死んで夏空し 風鈴を部屋に吊して見るばかり
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切先で未来開くかシャツの白 シャツ白しおのれの今を光らせて 書士業を卒へたる初夏に愛狗逝く ご褒美に似る捻花を愛しけり 夏深む一つの過去も離りつつ
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新参の庭の友かなねぢり花 庭に出でて母の形見やねぢり花 保護すれば蕗茂りゆく狭き庭 光速で万年といふ夏銀河 外務省の芝にも見たりねぢり花
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我が好む冷ソーメンの素朴さよ 政治家の言「異次元」の涼し過ぎ 劣化して国はいづこへ心太 狗が死にし悲しみに咲くねぢり花 母くれし鉢の名残のねぢり花
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団子虫のむくろ運ぶや蟻の群 釣せねば船虫恋し家籠る 七島の干場に見しは道をしへ 車なき昭和が遠し老の夏 物干竿のアンテナ上げし夏空へ
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サイダーを飲んで口中昭和かな 順番はいいのか愛狗死んで夏 目に見ゆる青嶺といふも全て過去 LGBT英語ぼかしが蒸し暑し 梅雨の天心におもくのしかかり
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新茶飲み些事が嬉しき老人か 梅もいで今年のノルマ果たしけり 荘厳は死が造るもの空つ梅雨 イントロが天から下りて梅雨晴間 をりをりに湧く悲しみも梅雨の内
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梅雨晴も鬱は愛狗の死がいまだ 合歓の花我を誘へねむの国 花穂いでて少しの幸や野萱草 かく長く生くるも時世夏深む 更衣して探すかな良き事を
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蕾出し時に分け入る野萱草 朱(あけ)淡き蕾の清さ野萱草 天おもく閉ざしし梅雨の懺悔かな 新茶かな出涸らしも食ひ友おもふ 一息の沈黙梅雨の天垂るる
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狗のをらぬ手ぶらが空し梅雨の雨 六月や彼岸は心とぞ決めつ 梅雨の日は心の母と狗と睦む 狗に誓ひし懴悔が一つ芒種過ぐ 狗の初の月命日も過ぎて梅雨
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芒種過ぎ兄の田植の人任せ 七つしか灯のなき故郷蛍飛ぶ 火振などする子もなくて過疎の里 辛うじて庄屋元あり田植時 愛犬の毛はほぼ拾ひ梅雨の内
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230614詠 更衣(ころもがえ)さりとて客の来るはなし 毎日の閑古鳥よしさみだるる 山積の原稿のみの黴臭さ 栄光は過去にもあらず一生梅雨 愛犬を弔ふ日々に梅雨晴間
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宇宙にも孤独はありぬ寒昴 改作につき 神は上女将もつよし夏我が家 梅雨茸のひそかに庭にいでて雨 花咲けばわきて榊を愛づるかな 冷汁のソーメン美味し昭和味
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愛狗亡き両手の軽さ梅雨深し さみだれの音の寂しき居間未明 音低くさみだれは降り過去を呼ぶ 五月雨や先立つ者の羨しさ(ともしさ)に 犬のゐぬ居間の残像さみだるる
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帰省して飲む昼の酒狗を言はず なるべくは俳句談義の端居酒 夏屋敷風の通はずなりし居間 あと何年兄と飲む酒梅雨の昼 兄と飲む昼酒美味し端居して
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さみだれに行かまく欲るや濁り釣 母死んで愛狗が死んで梅雨深し わがための木となりし木の榊咲く さみだれや両子由来の木に草に 草茂る狗の死にゆきしその後も 今日は愛犬の最初の月命日です一か月経ちました(やっと耐えた感じ)
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バス停のトタン屋根よりさみだるる さみだれやバス賃十円母が出す バス停小さく何人か外さみだるる さみだれの低周音やバスを待つ 雨降るや鰻の遡上待つわれに
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梅雨といふ妄想時間老たのし さみだれや君が代かつて斉唱し さみだれや村の小学講堂も 古ピアノ小学講堂外は梅雨 水草とともに水入るプールかな
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譬ふれば湿漉漉(しつろくろく)の梅雨に住む 関はりも失せて報聞く山開き 映像の男池の清水過去遠し 愛即ち別離の苦かな遠青嶺 老幹撫でて梅の豊作褒めにけり
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歴史かな皿に自負する桜餅 俳友N氏のアドバイスを思い出し改作 狗の去りし空虚が無辺梅雨深む 彼岸とは心の中だ梅雨の解 ぺツトとふ呼び名の軽さ黴の家 狭けれど庭に苔むす土がある
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五月闇真の友情ふと思ふ おもむろに老は孤立に青蛙 侵蝕は四方より来る黴の家 老といふ黴を蔵する五体かな 愛狗逝き老が一気に黴と化す
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短夜や人生も店じまひ中 メデイア死に静寂過ぐる夏の鬱 梅の実を見るのみの日々時余る 若さこそ美味さとおもふ新茶かな 目に入るは全て句になる草茂る
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篠の子のいづる頃かな故郷も 大方は知る人逝きて里の夏 里の夏ふかむ山野はありのまま 左耳に田蛙の声棲む夜かな 狗の死にて両の手余る夏夜かな
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大船の青い山体涙もつ 雨晴れて大船山のふかみどり 五月十日舌の紫忘れ得ず これほどに愛別離苦か新緑に 梅実る愛別離苦の空しさに
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狗の舐めし名残を腕に梅雨に入る いつも来る波止に青潮見て帰る 街に会ふ人みな若しクールビズ 幼き日思ふも淡し水を打つ 歌人曰く星宿移る中に夏
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中身抜け空蝉といふ設計図 石蕗の子を守る薫風吹きにけり あぢさゐや鎌倉古道遥けきに 声立てて吹く青嵐何怒る 日の照るに声唸らせて青あらし
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田蛙や稲植ゑぬとふ兄夫婦 春菇終へ夏涸にかな兄夫婦 草茂り伐る人もなし川見えず 川遊び瀬干しも過去になりし世か 草文字を落とす半紙に夏の風
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梅雨近し高血圧を恐れつつ をりふしに愛狗が恋しみどり夜は 幻聴かしきりに聞こゆ遠蛙 酸葉長け蒲公英絮になり空し 愛狗死に五月晴とふ空しさよ
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新茶飲んで心みどりの上を飛ぶ をりふしに薄暑の悲嘆来ては凪ぐ 冷したる新茶佳し友お元気か おのおのは孤独に生くるらし薄暑 万緑の内血圧にをののくも
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愛狗死に十日も過ぎて十薬花 思ふたび良い子でありし狗よ薄暑 若葉寒かな老人は常厚着 電気料上るとこれも若葉寒 酸葉ほうけわれも呆けて梅雨入前
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ホトトギス鳴くやタブ譜をなぞる時 かたかごや片倉城址思ひ出し 不義理せし師も逝き深山ツツジ咲く 坊ケツルミヤマツツジを腹蔵す 農の血の少し息づく梅雨入前
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季語なしと棄つるに惜しや桔梗草 色競ひ紫蘭ムラサキ露草よ 薫風やけふ愛犬の十日祭 変わらざるものはあるぞと蛙鳴く 愛犬を恋ほしみをれば草茂る
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君死んでそのあと緑深きこと 誘へば川をわたるよ夜のみどり 薔薇咲いてくれなゐ世界ゆるぎなし 山芋の無数に茂るなかに住む 新樹かなことしも咲かぬ柿かぼす
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愛狗逝き早はつなつの過去一つ 部屋用途替ふるも薄暑時動け 青葉風欠落に吹くやさしかり つづきゐる空虚にやさし青葉風 唐突に別離は来り梅雨近し
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立木知事の苗木の老いて青梅よ 樹齢約五十年 をちこちに薔薇咲き東荘園町 見返れば夏あかときの湾光る 淡紅と思ひし桃が花の白 くれなゐの薔薇おのづから時に酔ふ
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高崎の万緑海へなだれ落つ ニ神(ふたかみ)の山体鶴見万緑す 愛狗亡き欠落に座す綠鬱 紫蘭見て知らん知らんと言ふ夫婦 残生は静謐を欲るわれ五月
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かく深き綠夜を呼びしきみの霊 しんしんと綠夜の中のきみの霊 夜更覚め綠の孤独満つるかな 独りかな綠沁み入る脳の中 昔見し山青かりき恋遥か
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初夏や次から次に来る別離 飲酒にて憂さを遣らはん心太 田水かな水草の浮くこのプール 場所割の石決めをして川泳ぎ 友のごとヨシノボリ追ひ川遊び
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愛狗逝き欠落無辺青き闇 雀の子梅の葉あひに遊ぶかな 滴りや愛狗の食器庭に埋む 雀蜂を先づ追ひ払ひ食器埋む 詩作にて欠落癒えよ梅雨隣
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夏の暮橋下くろく川流る 村の橋まで歩みたい夏の夕 有明月西へ移ろふ夏の暁(あけ) 青潮を分けて近づく比売(ひめ)の島 比売語曽(ひめこそ)の宮居の前は青き潮
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石蕗の新葉をさなし庭に愛づ 水打つていつも生るる作り川 心にも距離あり悲しつばくらめ 闇の緑とおもふ脳裡の緑かな 青あらし別府の風は山下る
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新緑や鶴見山群尾根いくつ 神奈備の鶴見山体あをく座す くにさきの山又山のあをあらし 雷鳴れば蚊帳の中にて物語 国王の戴冠了んぬ聖五月
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230513詠 菜種梅雨の音もやさしき故郷かな いづこかのかぼすの花の匂ふ朝 いつ知らに老いて仰ぐや鯉幟 幼子が風知りし日も風車 風鈴の鳴らず吊すはいく年か 捧老良(らあ君に捧ぐ) 老良永眠十五歳(らあ君永眠したり十五歳) 君是狗而有深慮(君犬にして而も深慮あり) 至奈去也我腕上(どこへ行くも... 続きをみる
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陽光桜の葉の茂りたり母の亡く 両子山もつづきも青嶺帰り来ぬ いちめんに麦の穂ゆれて風の中 城下に真水湧くとふ夏の潮 横峰といふ隣郷夏薊
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聖五月愛狗の命召されけり 夏一夜愛狗を目守る添寝かな 十五時間なれ眠りこけ初夏に逝く 添寝とふなれとの別離緑闇 死期ちかき犬の背を揉む薄暑かな 初夏や愛狗の舌の紫も 紫はチアノーゼで酸素不足とぞ 庭なかの木々新緑に愛狗逝く いついづこの別離も別離木下闇 時のみが別離を埋む初夏の鬱 愛犬の亡骸出でし... 続きをみる
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謎の眩暈起りて我に夏来る 見まく欲る蛍故郷のおもはる 蕨など食はぬ今年の時迅し 夏草へ下りくる飛機や安岐港 シャツ白く己を誇り光りけり
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眩暈にと風池(ふうち)の局を揉む五月 五が三つ付く日の未明こどもの日 眩暈怖れ短夜を早寝ぬるかな 玉青の俳画がすがし聖五月 早寝して早起となり夏に入る
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夏暁(なつあけ)の海見る命ありがたし 朝歩く脚の軽さに夏は来ぬ 黄金週店が開かねば客は来ず 朝よりの眩暈怖るる夏の朝 眩暈してかかる界(さかひ)も老の初夏
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亡き犬を偲ぶも薄暑覚めて居間 短夜の未明に常に老の鬱 梅が枝を伐り油虫退治せり 晩春に出で鱗雲何兆す 初夏の坂の下より海広し
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今日は故郷両子(ふたご)に帰ってきます。例により「泥の如しも」でしょう笑 暑き日は朝がすがしと老歩く 時越ゆる風に乗りたり夏の蝶 威士酒に溺れてみたい薄暑かな 恋といふ意の力失せさくらんぼ 牛蛙鳴くくにさきのせどの道
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雛芥子のことしは咲かず硬き路 つつじ咲き患者の増えし診療所 櫨若葉うつくしけれど疎まるる ちんまりと露草若葉いでそむる 閉ざしたる店舗の扉堅く初夏
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春の雲東京へもう行かんのかい 葉桜のそよぎに世上移りけり 七九三描きて飛び来つばくらめ 燕来る七九三にひる返り 褪せたりし今年の春を惜しみけり
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畑まで打込む兄貴草野球 昼も夜も花をよろこび花疲れ 花見後の僅か三月の離職かな 日本鋼管 鞦韆や児童去りたる児童園 張子の象運ばれ行きし花祭
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春宵にひたるやコギトエルゴスム 春宵は音なり耳にしんしんと 行春の居間にいつもの独りかな 法舎裏に新葉いでし茶を愛す 春深し而るに己が生ふかし
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愛犬と暮らして楽し晩(おそ)の春 筍美味し伸び代のなき老人に 独活採りをやめて久しよ街に住む まんまるの馬の糞(まり)なき路の春 湾遠く見えわが家が夏館
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筍食ふ街に住み着く老人も 筍美味し少しパンダになりし我 ほほけたる田平子を抜く老の暇 庭ゆたか山芋の蔓芽を吹きて 長州の武運千金の夜となる
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4月28日別府鶴見句会吟行にて日出町暘谷城址や的山荘ほかを巡る 即詠5句 田辺風信子 石垣は大き盆なり新樹光 山荘の飛石を踏む影薄暑 大樟の下に若葉の光浴む 青梅と凪ぐ海隔て鶴見岳 海中(わたなか)に湧ける清水も薄暑かな
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やさぐれの仲間も遥か茅花の穂 映像の剱に見入る春未明 遠ぞきし挫折の甘ささくらんぼ 葉桜の光を浴みて更始とす 千萱の穂風にゆるるや漁師町
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十分に生きたと思ふ春の月 長実雛芥子愛でをり己一人のみ 春宵に変体仮名の深化あり 晩春の朝起きしかば常の打坐 鬼野芥子の絮ほほけ飛ぶ庭の中
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春昼のひねもす仮名の虜かな 春の暮介助車を引き犬歩く 車通らぬ時晩春の坂となる 逃水を見たり横峰の下り坂 人はしばしば春の海辺に恋拾ふ
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うららかや老人歩く手を腰に 閉め切りし飲食店の暮れのこる 四月にて故なき躁の我が居る 春暁のやさしさ満ちて湾の沖 書肆となる夢春宵の行田舎
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寒暖のこれほどまでの春暑し 愛犬も春の暑さに喘ぎをる 暑いかとおもへば寒さ春の朝 すかんぽの薹あまた立ち庭盛ん 自然薯の蔓いく本も伸ぶ庭に
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茅花食ひ戦後は山野輝けり 引きちぎり韮は塩揉み喰らふべし 木瓜咲いて花の朱色は花のもの 遠足の帰路ため池を標とす 春暁をふり返る坂沖低し
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春月と我とが睦む徒歩通ひ さきがけて大紫のつつじ咲く 春風に心まかせて鶴見坂 星宿は緑の闇に移ろへり 母の二本が四十二本に茗荷竹
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うまごやし一遍上人上りし浜 かたかごやもう悩むのはよせよ君 寝転んで空を見よとぞ紫雲英咲く 覗き見る仏所の枝垂桜かな 沈丁の平等互恵の香りかな
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朧かな対人赤面恐怖症 狭けれど蜥蜴のあそぶ庭長閑 鬼野芥子の絮風に乗る目借時 花馬酔木近道といふせどの道 大義なく人と疎遠や晩の春
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地下車庫に帰るいく年つばくらめ 燕来るしばらく返る技見せず 草野球に興ずる平和雲雀鳴く 赤提灯いつしかなくて馬酔木咲く 育める関の虎杖をさなけれ
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田の傷は泥にて癒す畦を塗る 青き踏むとき老人も生きてゐる さしあたり馬刀に塩差す磯遊び 春燈の下にしのぶや真砂女さん 四阿(あずまや)の遍路覗きし日も遥か
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尺取の虚空を探しあぐねをる 大手毬汝をつく娘はもうゐぬぞ 満天星(どうだん)や媼(おうな)の庭に君臨し 蛙よりお玉杓子を愛しけり 宇宙とふ無限の流蝌蚪の紐
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不穏なる世の中となり春愁ふ 声上げて若きら通る落花路 菜の花やいつより情緒失くししか ありあけの春月清き此岸かな 春月と我の一人の歩みかな
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プリムラのいまだに眠るただ低く ありあけの春の月みゆ山のきは 木香茨たとふれば黄の舞踏会 何がなし飛ばして気づく灌仏会 落花してしばしの夢にひたるかな
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俳人として、来る7月8日を悼み「万緑忌」を提起します (他のいいのがあれば同意します)230414詠 草莽に虹を架けたり万緑忌 この国に在るを讃へし万緑忌 示したる未来は広し万緑忌 自由をば善と示せり万緑忌 草莽を吹く風の音万緑忌
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柿若葉農滅ぶとぞ嘆きしが 葉桜や地位争ひに敗れし日 争ひの渦中にゐし日樟若葉 朝に生れ夕べ白骨新樹光 とかとんとん未だに鳴るや春炬燵
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柿若葉農滅ぶとふ夢さめて はたと湧き「メデイアは死んだ」春未明 春潮の届く先まで歩み寄る 春の浪へと踏み入つて釣るをとこ うつむいて浜を彷徨ふ防風摘
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ロゴ作る窓外の木は葉桜に なるべくは無為に居りたし鳥雲に 新葉の中帰りけり払郷 ふるさとはいつも懐かし新樹の香 緑闇真夜が息づく頃たのし
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230410詠 春月の下わたつみの遠き沖 明けゐたる春天の下出勤す ありあけのオリオンにして朧なる 坂多き出湯の街や春の夕 花菜みち遍路のごとく帰郷せり
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貧しくてツツジを食ひし昭和かな 酢漿の酸つぱき葉つぱ食ひし日も をちこちに酸葉の薹の立ちにけり 春の夕白き月みゆ湾の上 くたびれて飲む珈琲の湯気朧
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椿落つ天地揃への一移動 樟落葉降るや挫折の日のやうに 葉桜や一斉奪還策動く 老人に青梅まぶし未来はも さきがけてつつじ咲きそむ出湯(でゆ)の街
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春の雨やさしや母のいまは亡く 春月の坂下くろき湾の面 春天に燃えありあけの火星かな 玄関の枠茶に塗りて春深し 春暁の光る平の別府湾
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落花してあとは甲辰年を待つ 母植えし桜満開みて宴 帰郷せば母の手植の花盛ん 草の香のあふるる両子風光る 春風を心の中に溜めゐたり
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茗荷の子日に日に伸ぶる庭の中 春茸吹くとも喰らはるる蛞蝓に 蒲公英のことしもこなし絮飛ばす 田平子の黄のちりぢりに庭を占め 挿木して葉の出でし梅力尽く
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230404趣業融合 委任時は本人依頼落花前 委任状通帳と印落花受く 委任受け鷹は鳩身元人に化す 全支出セカンドオピニオン青き踏む 葬祭は前渡預かり花明り (ニ) 遺言書は公正証書鷹鳩に 本人の意志は敬聴花仰ぐ(最重要なり) 身元人即執行人花明り 禁忌とは利益相反花に雨 春愁や金に移ろふ心あり