2017年12月のブログ記事
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(平成26年作品:硝子片) 経済の根源は人の欲望か人は何かを得んとぞ動く 小志生木の渚に拾ひし石ころと硝子片いとほし丸くしなりて 二万余の命を呑みし海なるにかくまで青し涙のいづる 糸ケ浜に海牛を見し日々ありき幼き子らを遊ばすために 何万の歌を詠みしかわが知らず歌詠みといふ命の持続
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(作品:涅槃寂静) 椎茸農家に生れし名残の櫟の木庭に植ゑしが大きくなりぬ 並石へと越す山中に拾ひたる団栗を蒔き育てし木はも かすかなる矮小となりシクラメンわが庭なかに十余年生くる くにさきの冬枯見ゆる路ゆけばさながら涅槃寂静の内 日本語を英語に真似て歌詞を叫ぶハードロックに驚嘆しをり
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(作品:青木の葉) 朝ごとに山茶花のさく路かよふ実相寺へと坂上るみち 庭の木にからむ天狗の鼻さむく朝明けんとす曇の下に 平成も一年余り残すのみ新しき世はいかに生きんか ぱちぱちと燻りゐたる青木の葉遠き昭和の思ひ出のあり 日溜りに藪蘭の実の生りゐたり日のさしをれば心安けく
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作品:櫟の葉々 究極の馳走といひてをりふしに卵かけご飯を美味しく食ぶる 炬燵にて暖を取りつついつしかに寝息を立つる己に気づく 宿酔のために乱れしバイタルの心拍数の増加を怖る 枯れのこる櫟の葉々に寒ざむと冬日さしをりわが庭の内 とりわきて起伏のなき日常を幸ひとして日々をゆかしむ
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冬の潮 おもむろに梅の老木の形みえ朝明けんとす極月の庭 明け遅き師走の朝やかくしつつ年暮れて新しき年を迎へん 万両の赤き実あまた生りゐたり庭に小鳥の運びし一木 山芋の天狗の鼻の枯れ付きて庭木の梅に冬の日がさす 徐に七時を過ぎて明けながら遠わだつみがほのぼのと見ゆ
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六年ぶりの出勤の日や医療法人の設立事務が今日に始まる 円安となりて自動車企業など増益せりとテレビに報ず ラッキーが疲れしわれを心配しをりをり覗く寝てゐる顔を 飼犬のラッキーやさし疲れたるわれとぞ知りて寄り来て舐むる 「カッコよくない人生を歩きたい」流浪の民でなくてはならぬ
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アベノミクスの効果著し忽ちに株価八千円台から五千円上がる サッチャー氏が身罷りしとぞ躊躇はずフォークランドの戦せし人 青暗く明けゆく朝の窓外に梅の枝葉が風に揺れをり 平成の時代は年を重ねつつデフレスパイラルのからくも止る 数ふるにひーふーみーよーいつむーなーやーこーそーの大和語親し
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お互に敬ふこころ風化して日中はいま領土を あらそふ 風化とふ恐ろしきもの年経りて互みに敬ふこ ころ薄るる 可視宇宙すなはち百三十七億光年の外の宇宙 を人はいまだ見ず この庭に日々したしみて野の如くなりし処に 犬蓼の咲く 湾上に赤々と陽の上りゐて秋深まりぬわが庭 畑も
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