230731詠 今の世の防人に咲け合歓の花 蝕まる虫喰の世にカンナ燃え 灼路へと出づる気のなく事務籠り 日傘して人には光る時がある 氷水飲んで確かに生きてゐる (短歌の部)
2023年7月のブログ記事
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230730詠 夏の航比売の島とふ離島まで 川に入り涼とる我の夏休み あひびきの呪ひに似るハンカチか 日々に飲みビールもつとも生甲斐に 日傘して女人のいよよ艶を増す (短歌の部)
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230729詠 甚平が常着となりて余生かな 子供らも幼かりしよ砂日傘 田草取努力は報はれる形 毒消のクロマイ大き忘れざる 大方は恋を辿りし登山かな (短歌の部)
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230728詠 炎日やこぞは一偉人みまかりし 炎天へ召されし御霊帰郷とぞ 納骨といふ避暑もあれ渚村 軽装の弾む体を元気とふ 暑気払せんと願ふも疎遠の身 (短歌の部)
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230727詠 うすものの中に知性の腕が見え 梅を干す陽の清浄を貯むるべく 潮浴びの渚はむしろ恋探す 帰省して座敷に兄と腹晒す キャンプして坊ケツル讃歌唱ひしか (短歌の部)
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230726詠 夏山や高所が恐しいまむかし トラウマの夏山岩上なる孤独 蔓伝ひになぜ登りしか夏の山 夏山の鬼の背割をなほ恐る 汗ばんで男は俗をまとふかな (短歌の部)
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230725詠 高血圧を怖る炎暑の朝より もしかして熱中症か水を飲む 早めにと血圧薬のむ暑さ 盆用意にと早々の墓掃除 貧たれと辛抱につく土用かな (短歌作品)
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230724詠 夕焼けて山がしばしの自愛かな 炎天に晒すべき罪出し尽す 炎天の湾に和みの白き船 人生の整理をしをり暑を避けて 冷房の下には無為が定着す (短歌の部)
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230723詠 青潮に近く廃墟の造船所 七月の主が替る割烹家 愛狗死に暮らしが無味の晩夏かな かくまでに暑は厳しきか老故か 年寄に炎日無用脳裡の意 (短歌の部)
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230722詠 夕暮の向日葵は茎並び立つ あしひきの両子山体青仏 蝉の殻日毎に増えて庭移ろふ 我に似てぐずつく梅雨の熱帯夜 増税が目白押しなり梅雨明けず (短歌の部)
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230721詠 緑蔭に入り都市はまだ余力あり 沖つ方海茫洋として暑し 炎天や老に重大何食ふか 足長蜂を追ひ払ふけふの庭仕事 初蝉を妻に見せすぐ放しやる (短歌の部)
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海草のゆたのたゆたに夏日差 梅雨晴に日差ぢりぢりアスファルト あるかなく咲き山芋と芹の花 自高卑下の肥大を恐る溽暑なほ 暑き夏恐ろし我は家を出ず
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行田法舎歴もかなり長くなり、近頃埼玉県の行田市 のことが気になりはじめました。ことしの秋くらい に旅して句を詠みたくなりました。先日タモリさん が紹介する番組を見て、古墳群の街や古い刀剣の出 土のことも知り、思いをつよくしました。またわ が家のルーツかもしれない田辺市にも。
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夏草の上飛ぶ蝶のへろへろと 南天の小花あはれや褒められず 文字摺や一生学べと母のこゑ 蓮の葉に早聖人の坐す所 しんしんと孤独がますや夏日差
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夏草や国際化とふ生き難さ 宇宙駅飛ぶ炎天の下に住む 暴力も罵倒も現老の鬱 夏深し鬯草貢ぎし倭人とは 竹林を賢人去りて草茂る
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河鹿鳴きをりし狐塚行かず久し 打坐なしし興慶寺なる夏座敷 蝉しぐれさへ笑ひたく初の打坐 憧れし都会に染みて老いて夏 そこここに梅雨茸いでて腐る庭
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作務として黴を落とし終へ風呂に入る 希はぬも草は茂りて庭深野 梔子や浅川沿線十余年 木陰さへ日差に刺され百草園 いく年か浅川沿の夏の風
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掌にとれば蛍はあをきインクの香 分け入るや青蘆といふ原始林 寝静まる頃おのづから闇の青 七夕や逢へば別れの八文字 万象無所徒黒黴の黒謎解けず
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七夕や長浜様の終る日か 愛犬の神ニた柱ともに夏 暴力の賛美を憂ひ夏深む 死者貶すは日本人か夏深む 青蘆忌や命があまた種を蒔き
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ぴんと張る粗紐に沿ひ稲を植う 田植田の畦に遊ぶ子小昼待 人要らぬ要らぬと植うる田植機は 何嘆くモーンモーンと牛蛙 芋井手といふ堰したし濁り鮒
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三伏の内に養ふ秘なるもの 出水見に行くことならず人が死ぬ 青山野老いたる我は見やるのみ 青岬恋の残滓の浪が寄る 旅に出る行先なきも夏の潮
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新緑や生き急ぐとふ常の罠 見上れば泰山木の花舞台 竹落葉七賢人の忘れられ よしあしのなき日々過ぎて半夏生 水無月は水不要月(みづいらぬつき)過疎の村
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まひまひと時が回りて七十余 孑孑よ存在意義を何とする 時鳥天辺駈けて来りけり 水馬(みずすまし)われは誦したり泥ん様 頑固さは胡瓜の塩揉にて貫す
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舟虫逃ぐる蛸壺を積む漁師より 伝馬船入り来る波止の夏暑し 夜の海のしづけさを泣く夜光虫 孑孑に等しき一生かもしれぬ 桑の実の下に川魚ひそむはず
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今日は大人(うし)の一年忌の日です。世は「新しい-」「異次元の」の言葉遊びのもと変遷。大人の蒔いた”平和の種”を育てていきたいものです。 草莽の心は入道雲に訊け 鱗雲いでたる夏に大人逝きぬ 大いなる意志は滅びず万緑忌 貫けば正義は消され過ぎて夏 天空の宙が自由とつばくらめ 万緑忌より青蘆忌(せいろ... 続きをみる
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草莽のふたたび灼けよ老骨も 滾滾と湧く岩清水大人は亡く 君死にて五十日過ぎいまだ梅雨 妻の生日五黄大安水無月尽 梅雨上りまへの驟雨か帰郷して
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弥栄はいづくにもあり芹の花 大雨の報とびかふも梅雨の内 東京より帰りし我に梅雨驟雨 弥栄は咫尺(しせき)にありぬ芹の花 愛犬の五十日祭過ぎ梅雨盛ん
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朝まだき駅くちなしの花白し 始電待つ妻生日の水無月尽 バラ咲の梔子白し三沢郷 梅雨明はまだか百草園の駅 待合室に迷ひ込みしか日野市の蚊
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梅雨空港都市の力が失せゐたり 梅雨空へ飛行機上る狗の国へ 梅雨雲のぶ厚きを飛機抜けきれず 厚き雲抜けて狗の住む雲の海 高空は炎帝すでに力あり
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縁側のなき家は来ぬ甲虫 甲虫仆木(たふれぎ)の香を聞かず久し 雨晴れてにごりに遊ぶ金魚かな 別れたる後夥し水海月 蟷螂の不敵の極み看過せり
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