行田法舎(ぎょうでんほうしゃ)のブログ

医療福祉と文芸が専門の田辺と申します。どうぞよろしくお願いします(^o^)

2023年5月のブログ記事

  • 230531詠

    狗の舐めし名残を腕に梅雨に入る いつも来る波止に青潮見て帰る 街に会ふ人みな若しクールビズ 幼き日思ふも淡し水を打つ 歌人曰く星宿移る中に夏

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  • 230530詠

    中身抜け空蝉といふ設計図 石蕗の子を守る薫風吹きにけり あぢさゐや鎌倉古道遥けきに 声立てて吹く青嵐何怒る 日の照るに声唸らせて青あらし

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  • 230529詠

    田蛙や稲植ゑぬとふ兄夫婦 春菇終へ夏涸にかな兄夫婦 草茂り伐る人もなし川見えず 川遊び瀬干しも過去になりし世か 草文字を落とす半紙に夏の風

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  • 230528詠

    梅雨近し高血圧を恐れつつ をりふしに愛狗が恋しみどり夜は 幻聴かしきりに聞こゆ遠蛙 酸葉長け蒲公英絮になり空し 愛狗死に五月晴とふ空しさよ

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  • 230527詠

    新茶飲んで心みどりの上を飛ぶ をりふしに薄暑の悲嘆来ては凪ぐ 冷したる新茶佳し友お元気か おのおのは孤独に生くるらし薄暑 万緑の内血圧にをののくも

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  • 230526詠

    愛狗死に十日も過ぎて十薬花 思ふたび良い子でありし狗よ薄暑 若葉寒かな老人は常厚着 電気料上るとこれも若葉寒 酸葉ほうけわれも呆けて梅雨入前

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  • 230525詠

    ホトトギス鳴くやタブ譜をなぞる時 かたかごや片倉城址思ひ出し 不義理せし師も逝き深山ツツジ咲く 坊ケツルミヤマツツジを腹蔵す 農の血の少し息づく梅雨入前

  • 230524詠

    季語なしと棄つるに惜しや桔梗草 色競ひ紫蘭ムラサキ露草よ 薫風やけふ愛犬の十日祭 変わらざるものはあるぞと蛙鳴く 愛犬を恋ほしみをれば草茂る

  • 230523詠

    君死んでそのあと緑深きこと 誘へば川をわたるよ夜のみどり 薔薇咲いてくれなゐ世界ゆるぎなし 山芋の無数に茂るなかに住む 新樹かなことしも咲かぬ柿かぼす

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  • 230522詠

    愛狗逝き早はつなつの過去一つ 部屋用途替ふるも薄暑時動け 青葉風欠落に吹くやさしかり つづきゐる空虚にやさし青葉風 唐突に別離は来り梅雨近し

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  • 230521詠

    立木知事の苗木の老いて青梅よ 樹齢約五十年 をちこちに薔薇咲き東荘園町 見返れば夏あかときの湾光る 淡紅と思ひし桃が花の白 くれなゐの薔薇おのづから時に酔ふ

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  • 230520詠

    高崎の万緑海へなだれ落つ ニ神(ふたかみ)の山体鶴見万緑す 愛狗亡き欠落に座す綠鬱 紫蘭見て知らん知らんと言ふ夫婦 残生は静謐を欲るわれ五月

  • 230519詠

    かく深き綠夜を呼びしきみの霊 しんしんと綠夜の中のきみの霊 夜更覚め綠の孤独満つるかな 独りかな綠沁み入る脳の中 昔見し山青かりき恋遥か

  • 230518詠

    初夏や次から次に来る別離 飲酒にて憂さを遣らはん心太 田水かな水草の浮くこのプール 場所割の石決めをして川泳ぎ 友のごとヨシノボリ追ひ川遊び

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  • 230517詠

    愛狗逝き欠落無辺青き闇 雀の子梅の葉あひに遊ぶかな 滴りや愛狗の食器庭に埋む 雀蜂を先づ追ひ払ひ食器埋む 詩作にて欠落癒えよ梅雨隣

  • 230516詠

    夏の暮橋下くろく川流る 村の橋まで歩みたい夏の夕 有明月西へ移ろふ夏の暁(あけ) 青潮を分けて近づく比売(ひめ)の島 比売語曽(ひめこそ)の宮居の前は青き潮

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  • 230515詠

    石蕗の新葉をさなし庭に愛づ 水打つていつも生るる作り川 心にも距離あり悲しつばくらめ 闇の緑とおもふ脳裡の緑かな 青あらし別府の風は山下る

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  • 230514詠

    新緑や鶴見山群尾根いくつ 神奈備の鶴見山体あをく座す くにさきの山又山のあをあらし 雷鳴れば蚊帳の中にて物語 国王の戴冠了んぬ聖五月

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  • 230513詠及び捧老良(らあ君に捧ぐ)

     230513詠 菜種梅雨の音もやさしき故郷かな いづこかのかぼすの花の匂ふ朝 いつ知らに老いて仰ぐや鯉幟 幼子が風知りし日も風車 風鈴の鳴らず吊すはいく年か  捧老良(らあ君に捧ぐ) 老良永眠十五歳(らあ君永眠したり十五歳) 君是狗而有深慮(君犬にして而も深慮あり) 至奈去也我腕上(どこへ行くも... 続きをみる

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  • 230512詠

    陽光桜の葉の茂りたり母の亡く 両子山もつづきも青嶺帰り来ぬ いちめんに麦の穂ゆれて風の中 城下に真水湧くとふ夏の潮 横峰といふ隣郷夏薊

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  • 愛狗の死(癸卯五月十日)

    聖五月愛狗の命召されけり 夏一夜愛狗を目守る添寝かな 十五時間なれ眠りこけ初夏に逝く 添寝とふなれとの別離緑闇 死期ちかき犬の背を揉む薄暑かな 初夏や愛狗の舌の紫も 紫はチアノーゼで酸素不足とぞ 庭なかの木々新緑に愛狗逝く いついづこの別離も別離木下闇 時のみが別離を埋む初夏の鬱 愛犬の亡骸出でし... 続きをみる

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  • 230510詠

    謎の眩暈起りて我に夏来る 見まく欲る蛍故郷のおもはる 蕨など食はぬ今年の時迅し 夏草へ下りくる飛機や安岐港 シャツ白く己を誇り光りけり

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  • 230509詠

    眩暈にと風池(ふうち)の局を揉む五月 五が三つ付く日の未明こどもの日 眩暈怖れ短夜を早寝ぬるかな 玉青の俳画がすがし聖五月 早寝して早起となり夏に入る

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  • 230508詠

    夏暁(なつあけ)の海見る命ありがたし 朝歩く脚の軽さに夏は来ぬ 黄金週店が開かねば客は来ず 朝よりの眩暈怖るる夏の朝 眩暈してかかる界(さかひ)も老の初夏

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  • 230507詠

    亡き犬を偲ぶも薄暑覚めて居間 短夜の未明に常に老の鬱 梅が枝を伐り油虫退治せり 晩春に出で鱗雲何兆す 初夏の坂の下より海広し

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  • 230506詠

    今日は故郷両子(ふたご)に帰ってきます。例により「泥の如しも」でしょう笑 暑き日は朝がすがしと老歩く 時越ゆる風に乗りたり夏の蝶 威士酒に溺れてみたい薄暑かな 恋といふ意の力失せさくらんぼ 牛蛙鳴くくにさきのせどの道

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  • 230505詠

    雛芥子のことしは咲かず硬き路 つつじ咲き患者の増えし診療所 櫨若葉うつくしけれど疎まるる ちんまりと露草若葉いでそむる 閉ざしたる店舗の扉堅く初夏

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  • 230504詠

    春の雲東京へもう行かんのかい 葉桜のそよぎに世上移りけり 七九三描きて飛び来つばくらめ 燕来る七九三にひる返り 褪せたりし今年の春を惜しみけり

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  • 230503詠

    畑まで打込む兄貴草野球 昼も夜も花をよろこび花疲れ 花見後の僅か三月の離職かな 日本鋼管 鞦韆や児童去りたる児童園 張子の象運ばれ行きし花祭

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  • 230502詠

    春宵にひたるやコギトエルゴスム 春宵は音なり耳にしんしんと 行春の居間にいつもの独りかな 法舎裏に新葉いでし茶を愛す 春深し而るに己が生ふかし

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  • 230501詠

    愛犬と暮らして楽し晩(おそ)の春 筍美味し伸び代のなき老人に 独活採りをやめて久しよ街に住む まんまるの馬の糞(まり)なき路の春 湾遠く見えわが家が夏館

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