行田法舎(ぎょうでんほうしゃ)のブログ

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作品24首:北の大地

(作品24首:北の大地)
  『北の大地二四首』 田辺誓司
うつし世にたゆたふごとし命とふ絶対善を追ひ求めつつ
旅遠く来りしわれは波しぶく津軽海峡に身をさらしをり
若くして土方歳三の果てしとふここ五稜郭維新は遠し
啄木の若きに訪ひし函館か津軽の海を見つつしおもふ
立待岬をいま過ぎしとぞ音猛る冬波見えてくらき昼の海
聖像ををちこちに見てトラピスチヌ修道院にわが歩み寄る
一生をば神の敷地に生くるとふ戒律あはれシスターあはれ
赤煉瓦の金森倉庫群石畳函館ベイエリアは異郷のごとし
       ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
をちこちに消え残る雪函館の冬暖かき一日を巡る
かくまでに海は間近に猛りつつ怒涛しきりに岸に砕くる
六十年近く生き来て見とめ得し津軽海峡波しぶきあふ
見はるかす閃亮灯海の電飾は闇に函館の街をいろどる
六十年の拙き生きを洗ふがに北の果たての海猛りみゆ
昼くらき洞爺湖辺り雪ふぶきかつて来りし思出が顕つ
まのあたり雪をよそほふ夕張の山脈みえてしろく輝く
雪ふかき北の果たての街へ来つ晴れしゆゑただに白き街並
       ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
雪晴の日差さやかに照りわたり地平へつづく雪原白し
道のべの雪の平はひかりつつ鳥の歩みし痕をとどむる
ひた走る雪原のみち石狩の大地夕づく頃となりたり
上川の雪の平地をゆき行けば午後たけて雪の反照やさし
遠く来し石狩平野歳晩のしづけさに雪しろじろ光る
日に照らふ白き大地は石狩の雪原にして浄くしづもる
心とふ不可思議なもの通ひあふあはひに旅の楽しさを生む
開拓をなしし歴史をおもはしめ北の大地の都市見えわたる

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